2007年7月31日火曜日

ダミアン part1 

今からちょうど1ヶ月前、うちのレストランにダミアンはやってきた。



この数日前、ジョスと私はレストランを辞めようか・・・という話をしていたところだった。



余りの忙しさに体力的にも精神的にもバランスを失い始め、これ以上ここで続けていて一体何の意味があるのか?というネガティブな考えに陥っていた。特にスゴンド(2番手シェフ)として働くジョスはシェフからサービスからの当たり散らしに参っていた。



そんな時だったので、ダミアンの登場はレストランにとって、そしてジョスにとって救世主的存在に思えてならなかった。



というのも、ダミアンはこれまで数々の名レストランで経験を積み、今年4月には東京でアラン・デュカスプロデュースのビストロ「ブノワ」で開催されたフードフランスにも、親友であるフレデリック・クールソルと共に参加している。



詳細はこちら、http://www.foodfrance.jp/http://allabout.co.jp/gourmet/frenchcuisine/closeup/CU20070427A/index.htm?FM=ranks




それらの経験から、ほんの数ヶ月の間とはいえ、レストランを引っ張っていく中心になることは容易に想像出来たし、また私たちにとっても彼の仕事を見る事がとても楽しみだった。けれど、そんな

彼にはコルシカの他のレストランからもラブコールがかかっていたので、本当にうちのレストランに来るのか直前まで分からなかった。



なぜ、うちのレストランにしたかというと、今までもたまに中休み程度で、地方の小さなレストランで働いてたらしく、グラン・メゾンのようなレストランで働くプレッシャーから一時開放される為のようだ。



コック姿のダミアンは、背筋がピシッとしていて他のキュイジニエとは違った雰囲気が醸しだされている。トルションの折り目がまっすぐだ。



そんな彼だけど、まったく自慢気でなく、とても親切で気の利く人である。自分の知識を惜しみなく伝え、動きに無駄が無いし、なにより彼には圧迫感がない。



なにより嬉しいのは、ジョスととても気が合っている事で、ジョスが楽しく働いていると私も嬉しい。



時には、大きな声で2人で歌ったり冗談をいいながらも確実に仕事をこなしていく。



彼は、私が初めて出会った尊敬する料理人なのだ。



これが、ダミアン。


2007年7月27日金曜日

7月14日

もう、すでに2週間前の事だけど、この時ほど「今、ここで倒れたら仕事辞めれるかなー」と思ったことは無かった。元が、”へたれ”なので、仕事が一杯になると、私のポストの隣で仕事するセバスチャンに「帰ってもいい?」とよくせがむのである。



それはさておき、このフランス革命記念日には、パリでは軍事パレードが行われフランス各地で花火が上がったりするのだけど、今年le voilierにはあるヨットかクルーザーかのクラブの100人のコース料理の予約が入っていた。

この予約は14日の1週間前に入り(他のボニファシオのレストランに断られたようで)これらの
料理をレストランで盛り付け、会場まで持っていくということだったのだけれど、私たち料理人はこの話をシェフから聞くやいなや、大きな不安に駆られていた。


100人の料理を作るのは良いとしても、レストランは常に営業している。


14日と言えば、コルシカのレストランであれば閉める所はおそらく無いだろう、最も稼ぎ時である。去年のデータでは、うちのレストランはコンプレ(満席)だった。


100人のコースは前菜(冷)・メイン(温)・デザートからなるが、まず皿に盛り付けて軽トラックで料理を運ぶという発想には無理がある。21時から始まる食事にレストランの猛烈なサービスの中で盛り付けをするのは至難の業だし、出来ても100皿をトラックに移し運ぶのにどれだけ時間が掛かるか、しかもレストランには駐車場などなく、一方通行の道路に面しているので、沢山の旅行客が行きかう中、トラックを停めてである。


皿も合計300皿必要なわけで、温かいメインをトラックで運んでサービス・・・・不可能不可能・・・


一人当たり150ユーロのコース(朝食・飲み物込み・確か)なので、結構豪華よね。


とにかく、すぐに私はデザートの仕込みに入った。なんせ、うちには道具が無い。ムースなんか冷凍して固まるのを待って型から抜いては、また仕込みの繰り返す事5回。ストックする場所もごくわずかで、試作する間も無くとにかく万が一の事を考えて、会場で盛り付ける事に」なってもいいよう、他の誰かが代わりに仕上げる事になってもいいように、という事をポイントに考えてみた。


で、作ったのがこれら3品のデザート盛り合わせ。
緑茶のマカロンにバジルのクレーム・ブリュレ、イチゴのミ・コンフィ、木苺のジュレ。
プラリネ・フィヤンティーヌ、ヘーゼルナッツ入りガナッシュ。さくさくチョコレートのデザートです。


ピスタチオのムース、グリオットのジュレ、ミルクチョコレートのムース、チョコ生地、チョコレートのチュイ
ル。
この注文から当日の1週間の間、みな休
み返上して来たり、朝5時
に来て(夜12時に終わるのに)仕込みをして、私は(おかしい、日本にいる時より働いてる・・・フランスなのに・・・)とぶつぶつ文句を言っていた。




さて、当日結局うちの料理人2人が抜けて、会場で盛り付ける事に。サービス終了後、会場に行って愕然・・・てっきり大型クルーザーの中でやってるのかと思いきやあったのは、運動会で見る白い即製テントと長テーブル4つのみ。



手を洗う水道さえなく、もちろんオーブン、レンジ、冷蔵庫なんてもってのほかで、この事は直前まで私たちは知らされてなかったのである。


企画をする側もする側だが、受ける側もうける側である。料理人として、おいしい料理をサービス出来ない事ほど心苦しい事は無い!!と思う。


私は、レストランに残ってたから気の毒に・・・と思うだけだけど、出張した料理人2人は憤慨していた。


もう二度とやりたくねーと思ってたら、案の定シェフはもう二度と受けないとの事。


それが、懸命ですよ。シェフ。


おいしい物をこつこつね、作ろうよ。








2007年7月25日水曜日

お久しぶりです。

新しいパソコンがようやく手元に届き、1ヶ月以上お休みしてたブログを再開します!

この1ヶ月、仕事がとてもハードでどのみちブログは休まざるを得なかったのですが、この期間返信が遅れたり、日本語で返信が出来ずに読み辛い思いをされた皆さん、申し訳無かったです。

まだまだ、ハイシーズン真っ最中のボニファシオ、ブログの更新には時間が掛かると思いますが、これからもよろしくお願いします。