映画のような話
先月、ある日の朝6時に私達は警察に叩き起こされた事があった。
ガタガタとドアを開けようとする音が聞こえて、以前不審者が私達のアパートのドアの前に来たこともあって、ジョスはパンツ一丁で恐る恐るドアの前に立ち、「誰だ!」と聞くと、「警察だ、開けろ!」なんて言う。
私は、コンタクトを付けてなかったし頭がボサボサで(こんな所で気にする事ではないが)しばらく寝室で様子を伺っていたのだけど、どうやらここの大家を探していたらしく、つまり人間違いなのだけど、身分証明書など見せてここに住んでいる事情などを説明して、警察は帰っていった。
私達は、「何か不動産関係で脱税でもしたのかな?」と思っていたのだが、1ヶ月後予想外に事態は大きな事となっていた。
ボニファシオには、皆にチチと呼ばれる大地主がいて、私達のレストランも土地はチチのものだ。何か新しい事業を始める時には、チチ抜きで話は出来ない。
チチには2人兄弟がいて、ポール・Aとアントワーヌだが、2人は今から約1年前にパリ8区のあるカジノを買った。
今から考えればこの時既に警察は警戒してたと思われる。実を言うと詳しい事実は私はしらないのだけど、大まかに言えば2人はマネーロンダリングの疑いで手配を受けていた。アントワーヌは今現在マルセイユの刑務所にいるらしいが、ポールは未だ逃亡中。
ポール・Aはコルシカのあるマフィアに属していたが、カジノを買う時に実は敵対するもうひとつのコルシカマフィアも(同じカジノ買収を)狙っていたそうで、万が一2つのマフィア間でひと悶着あったならば、ポール・Aの良き友であるポール・Bが敵対するマフィアを殺す事をマネーロンダリング先のスイス銀行の担当銀行家に依頼されていたそう。この銀行家は既に捕まっている。
しかも、ポール・Bはパリのスーパーフリック(直訳すれば、超警察・・・日本だと何に当たるのかな?インテリで実地経験豊富な警察)のトップにいた人物で退官後は、著名人のボディーガードをしていたらしいので更に驚く。
そういえば、12月はボニファシオには警察が沢山いたな。
ところで、先月私達のアパートに来た警察は、大家を捜してしたが、どうやら大家はポール・Aにカジノ買収の際にお金を少し貸していたらしい。それがどう関わって罪となるのかなっていないのか、警察が朝6時に来る事になったのかは知らないけど、そういえば大家さん最近みないな・・・・。
アントワーヌはボニファシオの旧市街にあるラグジュアリーホテル「ジェノベーズ」のパトロンなのだが、来年は果たして存続してるのだろうか??
全く、映画コルシカンファイルにも負けないくらいの話だと思いませんか?
同じ時アジャクシオで行われているナショナリストのイヴァン・コロナの検事殺害裁判をめぐって、ボニファシオの裁判所や別の地域では県庁が5箇所程爆破されていた。余談だが、コルシカのナショナリストは今年の大統領選の時サルコジに投票していたそうだ。コルシカに別荘を持ち愛人もいて、サルコジがコルシカを見放すことはないだろうと考えての事らしかったが残念、味方になるどころかナショナリストはフランスの厄介なお荷物として追い払われようとしている。
爆破にはサルコジに対するものでもある。しかし、なんで爆破なんだろう?
エアーフランスのスト・年末の物価上昇も影響してか、12月ボニファシオはまさにゴーストタウン。レストランは開店休業が続いた。「今年は異様な年だ・・・」とボニファシオの人々は口々に言う。
マフィア・ナショナリスト・爆破・殺害などおよそ現実的でない感じがするけれど、実際私達の生活に変わりはない。この話を外から聞くとコルシカは危険な場所のように感じるが私達は普通に暮らしているし、いつも通りウニを捕る。まるで別世界の出来事だ。
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